サービス付き高齢者向け住宅は、単身の高齢者や夫婦世帯が安心して暮らせるバリアフリー構造の賃貸住宅です。
2011年の「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正をきっかけに一気に増え、現在は全国に23万戸以上あります。
主な入居者は、自立(介護認定なし)あるいは軽度の要介護状態の高齢の方です。
「サ高住」とも呼ばれるこの住宅は、生活相談員が常駐し、入居者の安否確認やさまざまな生活支援サービスを受けることが可能です。
そのほか、状況に応じて「訪問介護」を組み合わせることで、安全安心な生活を送れます。
- 各居室にトイレ・浴室・洗面設備・台所・収納設備を完備した自宅のような快適さを求める方
- 生活相談や安否確認サービスで安心と自由な生活を求める方
- 「老人ホームを検討しているが、今のところは介護の必要がないし、自分でできるけど自宅では不安」という方
サ高住は一般型と介護型の2種類に分けられます。
一般型は自立した方を対象とし、介護型は介護ケアを要する方の入居を想定しています。
今回は
- 一般型サ高住の特徴や費用、入居条件
- 介護型サ高住との違い
について分かりやすくお伝えします。
参考サイト:
国土交通省 ・厚生労働省 サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム サービス付き高齢者向け住宅のご案内
サ高住は介護を受ける施設ではなく、快適な暮らしができる住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、その名前から「介護付き」の施設と考えがちですが介護はありません。
サ高住は、元気な方や軽度の介護が必要な高齢者が、安心に暮らすための安否確認や生活相談などのサービスに加え、食事のできるレストランなどを併設した「高齢者専用の賃貸マンション」といったところです。
高齢者向け賃貸には食事の提供は一般的にはありません。
日中は医師・看護師・介護福祉士・介護支援専門員などのケアの専門職が対応しますが、夜間は常駐しないところもあります。
入居の対象となるの「60歳以上の介護を必要としない自立できる高齢者」と、「軽度の介護を要する高齢者」が利用できます。
施設によっては要介護5でも受け入れるところも多く存在します。
居室は一人用と二人用があります。個室の広さは25㎡となっていますが、実際は18㎡のところが多いのが実情です。
生活する場としては狭いので、共用のスペースの確認も重要です。
次のどちらかに当てはまる人です
- 60歳以上の高齢者
- 要介護認定を受けた60歳未満の方
サービス付き高齢者向け住宅は同居も可能で、原則として60歳以上の配偶者か親族に限定されます。
入居者が亡くなった場合、同居している親族などが60歳未満の場合は、退去になることが前提となります。
- 配偶者(届け出はしていないが事実上の夫婦と同様の関係にあるものも含む)
- 60歳以上の親族、要支援・要介護認定を受けている親族
- 特別な理由により同居させる必要があると知事が認める者
サービス付き高齢者向け住宅「一般型」と「介護型」(特定施設)の違い
- 一般型サ高住
-
介護が必要になった場合、訪問介護やデイサービスなどの外部サービスを個別に契約をして利用することになります。
1日のスケジュールは自分で決めることができ、生活の自由度は高いです。
- 介護型サ高住(特定施設)
-
「介護スタッフが24時間常駐」「看護師の日中常駐」という人員配置義務が適用されているため、スタッフから直接サービスを受けることができます。
介護型は一般型と比べると自由度は低いものの、安心して日々の生活を送れるメリットがあります。
以下の表は「一般型」と「介護型」の違いを比較しました。
一般型サ高住 | 介護型サ高住(特定施設) | |
---|---|---|
住居形態 | 住宅 | 施設 |
契約形態 | 賃貸借契約 | 利用権契約 |
入居一時金 | なし(敷金のみ) | 必要 |
プライバシー | プライバシー重視 | 見守りあり |
介護サービス | 外部の事業者と個別契約 | 施設の職員による介護 |
介護保険 | 訪問介護 | 特定施設入居者生活介護 |
介護士 | 外部の事業者と個別契約 | 施設の職員 |
看護師 | 訪問看護 | 常勤・常駐 |
契約前に知っておきたいサ高住にかかる費用の内容
サ高住は賃貸住宅であるため、賃貸契約の初期費用として、敷金または保証金が必要となるケースが多くあります。
目安は家賃の2~3か月分、数十万円ほどです。
数年分の家賃を前払いで支払うケースもあります。
毎月支払う費用には、家賃、管理費(共益費)があります。
月額の目安は、近隣の賃貸住宅の家賃相場とほぼ同じで、10万~40万円ほど。
そのほか、食費・水道光熱費・安否確認・生活相談サービスの提供費用などが月々かかります。
管理費のなかに安否確認・生活相談サービスの提供費用が含まれる場合もあるため、事前に確認しましょう。
食事のサービスを受けた場合、食事をした分だけ支払うケースが一般的です。ほか、水道光熱費も利用した分を支払います。
サ高住の敷金・家賃・サービス利用料
サ高住の多くは一般的な賃貸住宅と似た料金体系で、立地などの条件によってその額は大きく異なります。
ただし、事業者が入居者から受け取れる料金は敷金、家賃、サービスの対価のみと限定されています。
家賃以外の権利金や礼金、更新料の徴収は禁止されています。
- 賃貸借契約等の居住の安定が図られた契約であること
- 前払い家賃などの返還ルール及び保全措置が講じられていること
- 敷金、家賃、サービス対価以外の金銭を徴収しないこと
一般型サ高住 | 介護型サ高住(特定施設) | |
---|---|---|
敷金 | 10〜40万円 (家賃2~3ヵ月分) | 数万~数百万円 (前払い金) |
家賃 | 約6~8万円 | 約6~10万円 |
管理費 | 約4~6万円 | 約4~6万円 |
食費 | ————— | 約4~6万円 |
介護サービス費 | ————— | 約5000円~2万5000円 |
水道光熱費 | 約5000~1万円 | 約5000~1万円 |
オプション料金で個別サービスを提供
多くのサ高住ではオプション料金を支払うことで食事の提供があり、家事支援などのサービスも行われています。
介護が必要になったとき、敷地内に介護事業者が入っているところが多く、個人で契約することで自宅にいる時と同じように介護保険の居宅サービスを利用できます。
重い介護が必要になれば住み続けることができなくなる可能性がありますが、一時金を払っていなければ、入居後に退去の決断がしやすいでしょう。
また、サービスの対価でサ高住には必ず見守りサービスと生活相談が付いています。
- 見守り(安全確認)サービス
-
定期的な居室への訪問やセンサー設置により見守りなど。安否確認のタイミングや方法は事業所によって様々です。
- 生活相談サービス
-
「電球を取り換えて欲しい」などの困りごとや、サービスの相談・手配、家族への連絡代行など、生活全般のサポートをします。
その他に提供されるサービス内容は個別に違いがあるので、当然料金も変わってきます。
個別契約で居室の掃除や病院への付き添いなどのオプションを用意している施設もあります。
サ高住の介護費用は「特定施設」の指定の有無で変わる
特定施設の指定がある高齢施設は以下の4施設です。
- 介護付き有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(介護型サ高住)
- 軽費老人ホーム(ケアハウス)
- 養護老人ホーム
この4つの施設以外には、介護サービスが付いていません。
費用は1割または2割が自己負担です。
「特定施設」の指定の有無
- 一般型サ高住:特定施設の指定なし
- 介護型サ高住(特定施設):特定施設の指定あり
「特定施設」の指定を受けている介護型サ高住は24時間体制で職員が介護してくれますが、一般型サ高住は頼んだ時間のみのケアだけしかありません。
この違いを理解していないと「間違ったクレーム」をするか、サービスをつけた分だけ料金が高騰するかのどちらかです。
提供されるサービスの内容は物件によって千差万別です。
入居を検討する際に確認しておくこと
- 「特定施設」の有無
- 生活支援サービスの料金と内容
- 介護サービス以外のオプション
介護が必要な状態で、サ高住に住み替える場合の費用
- 敷金:家賃の2ヶ月分ほどです。
サ高住では権利金・礼金・更新料の徴収は禁止されています。
- 居住費:家賃・水道光熱費・共益費
- 生活支援サービス費:食費・生活相談費・見守り費
- オプションのサービス
- 介護・衛生用品代
- 介護サービス費
- 上乗せ介護サービス費
- 医療費
- 日用品
- 有料老人ホームより費用が低い
- 介護保険は各自で契約して居宅サービスを利用
- 認知症に対応してるかは要確認
- 看取り対応な少なめ
- ケアの専門家が日中に常駐
- 部屋は一人用か二人用
- 申し込みは直接施設へ
【最重要】サ高住の選び方
どのような施設がありどのようなサービスが受けられるのか、サービス付き高齢者住宅に関する情報を資料請求して広く集めましょう。
資料請求
「施設の比較検討が難しい」「どんな生活になるかイメージできない」「何を知りたいのかわからない」こういった時は資料請求が役に立ちます。
- 理想の施設が具体的にイメージできる
- 家にいながら効率よく比較できる
- 見学の際のポイントが明確になる
資料には金額やプラン、食事などの詳しい情報が記載されています。
施設の強みや特長が分かりやすく書かれているので、比較しやすいのもうれしいポイントです。
「気になる施設がいくつかあるけど、全部の見学に行くのは大変……」を解消。資料は無料で配布されています。
担当のケアマネージャーに相談
すでに介護や介護支援を受けている場合には、担当のケアマネージャーに相談してみるのもひとつの方法です。ほかの介護施設の入居待ちの間にサービス付き高齢者住宅を利用するケースもあるため、参考となる情報が聞けるでしょう。
現地見学・体験入居
希望に近いサービス付き高齢者住宅が見つかったら、現地に足を運び見学や体験入居を行います。
施設の清潔感や職員の雰囲気、周囲の生活環境などは、実際に体験してみないとわかりません。時間や手間を惜しまないようにしましょう。
現地見学や体験入居の際は、1つに限定せずに複数の施設を見て回ることがポイントです。
複数を比較することでサービスの質の差が明確になります。また、施設の責任者や入居者などから直接話を聞いてみることも、運営姿勢などがわかり参考になります。