「もう限界」の段階で施設を探し始めるのは遅い
当サイトでは、高齢者施設に入居するまでの情報を網羅的に掲載しています。順番に読み進めると入居までの流れが順序立てて理解できます。
また、必要な記事から読んで、後から全体に目を通す読み方でも大丈夫です。「こんなにたくさんのことを知らないといけないのか」と気が重くなるかもしれませんが、全てを覚える必要はありません。
必要な時に必要なことをするだけで充分です。大切なのは切羽詰まる前に
- 「こんな方法があるんだ」
- 「こんな制度があったんだ」
情報を知って、早め早めに準備しておくことです。「もう限界」という段階で施設を探し始めると、施設の種類に圧倒され、内容を理解することもなく、結果、親にとって適切な施設を選んであげられなかったという事態になります。
家族だけで親の介護は無理
仕事を持つ子世帯にとって親の介護をどうするかは深刻な問題です。
- 「うちの親もいつかは」
- 「仕事を辞めるしかないのか?」
- 「お金はどれくらい用意したらいいのか?」
など、いずれ降りかかってくる親の介護という大問題に不安や悩みの種が尽きることはありません。
昔は「子どもが親の面倒を見るのは当たり前」といわれていました。親のために、介護漬けの日々を送る風潮は確かにありました。しかし、それは介護の平均期間がまだ短かった時代のことです。
しかも今は、兄弟の数も少なく、高い離婚率の中で協力し合える家族がいないケースも珍しくありません。子育て期と重なる「ダブルケア」も増加しています。
介護で一番の問題
介護する本人が納得しているならば親の世話のために離職するのも一つの手です。問題なのは『介護保険を活用して介護施設を使用し、仕事を続けながら親の面倒を見る』といった選択肢を知らないまま、自らの手で介護をする道に突き進んでしまうことです。
在宅介護、施設介護の双方にいえることですが、介護の情報は複雑で、待ってるだけで有益な情報がやって来ることもありませんし、誰かが教えてくれることもありません。
しっかり情報収集をおこなうことで、親にとっても子にとってもベストではなくてもベターな選択ができるようになります。大切なことだからこそ、親と対話をし、情報を集め、自分の目で見て、リスクを想定して検討しましょう。
施設に預ける後ろめたさを無くす
施設に預けるという選択肢については、
- 「お金がないから」
- 「空きがないから」
- 「世間体が悪いから」
といった理由で否定的な人がいまだに多いのが現状です。密室で一対一の介護を延々と続けていたら、いつしか「介護うつ」になったり高齢者虐待につながったりする危険性があります。
また、頑張りすぎた末に、介護中の親より先に子どものほうが倒れて亡くなるケースも珍しくありません。自分が頑張れるまで親の介護を自らしてあげたい、と思う人は多いと思います。
しかし『仕事を辞めてまで』『自分や配偶者、子供などをないがしろにしてまで』するべきことなのかよく考えましょう。また、介護施設などを利用することに親への罪悪感を抱いてしまうこともあるかと思います。
しかし、介護とは社会全体で協力して行うもの。子育てと同じです。幼稚園や保育園に子どもを預けて仕事を続けるように、介護でも施設などのサービスを利用するのは不自然なことじゃないと考えるべきです。
罪悪感を持つ必要はありません。
共倒れする前に
高齢者施設に関していうと、ほとんどの親が入居を望んでいないことが事態をさらに複雑にしています。子から提案した途端不機嫌になったり、落胆したりする親もいます。
けれど、事は重大です。共倒れや介護退職を、子の頑張りだけでは乗り越えられません。親の介護で心身をすり減らし、破産寸前の状態に追い込まれ、命さえ落としてしまう事例も枚挙にいとまがありません。
これから先、介護を必要とする高齢者がさらに増えていく中で、介護を原因とする貧困によって「親子共倒れ」状態に陥るケースは決して他人事ではないのです。