高齢者向けの住宅や介護施設は、ニーズが高まる一方で新規でオープンする施設も年々増加傾向にあります。
当然ながら、新しい施設は空きが多く入居しやすい状況です。
実際、新規オープンの特養に「待たずに入れた」と言う声をよく聞きます。
特養の入居条件は原則、要介護3以上です。
「原則」なので状況によっては要介護1から受け入れるケースもあります。
新規でオープンした施設はたくさんの魅力がある一方で、入居した後に
- 「こんなはずじゃなかった」
- 「しっかり調べておけば良かった」
- 「今後が心配だ・・」
と落胆してしまいかねません。
新規オープンの施設の入居を考える場合は、より慎重な検討が必要です。
参考サイト:
厚生労働省 介護労働の現状について
新規オープンの施設 3つの注意点
新しい施設は、建物や設備が新しいので気持ちよく過ごせそうに感じます。
しかし、気持ちよく過ごせるために最も重要なのは「人」との関係です。
施設にいる「人」は職員だけでなく、利用者もいます。
これらの人との良好な関係が暮らしやすい施設になるかどうかを左右します。
「新規」ということは人間関係の実績がないことを意味しています。
実績がないことで起こる新規オープンの注意点は以下の3つです。
- 職員が不慣れ
- どんな入居者が集まるか不明
- 経営が不安定
職員が不慣れ
介護職は一般的に重労働の割に賃金が安いために、求人を出しても人員が集まらずに苦慮しているのが現状です。
問題は、介護職には不向きだけど人手が足りないから採用せざるを得ないケースです。
施設の人員配置の数は法律で決められています。
職員の数を確保できなければ、施設の定員を減らさなければいけません。
実際、居室の一部を閉鎖している施設も存在しています。
その結果、入居した施設の職員の多くが経験が浅く、サービスの質が低く、連携がうまくいっていない恐れもあります。
どんな入居者が集まるか不明
既存の施設であれば見学時に入居者の様子を知ることが出来ますが、新規オープンの施設はそこが不明です。
元気な方が多い活気のある施設になるかもしれませんし、認知症の方や医療依存度の高い方が大半を占める施設になるかもしれません。
男女比や年齢層がわからない分、他の入居者とうまくやっていけるかどうかの不安が残ります。
経営が不安定
新規オープンの施設の数年間は経営が安定せず、廃業する施設も散見されます。
入居者が増えなかったり、職員の確保ができなかったりが原因で、サービスの不満から悪い口コミが広がるなどの悪循環が考えられます。
見学に来た方は「入居者が少なくて寂しい」と感じてしまい入居を見送り、さらに時間が経つと「オープンから何ヶ月も経ってるのに何でガラガラなの?」と不安になってしまいます。
逆に、人間関係が苦手な人にとっては入居しやすいと言えます。
入居前に、現在の入居者及び入居予定者の数を確認しておくと良いでしょう。
入居後、サービスに不満を感じたら … 上手な苦情の伝え方
サービスを利用すると、いろいろ気がつくことがあります。良いことばかりではありません。
「ちょっと違うのでは……」「おかしいんじゃないの?」「ありえない」「許せない」など、改善してほしいと思うことは少なくないでしょう。
思ったからといって、すぐに事業者に連絡するかというと、実際は多くの人がためらいを感じます。
なぜ、苦情は言いにくいのでしょうか
経験のある人はわかりますが、「苦情を言う」というのは、相当なエネルギーが必要だからです。
- 「こんなことで、苦情を言ってもいいの?」
- 「お世話になっているから、言いにくい」
- 「苦情を言うと、あとで不利になるのでは?」
- 「自分だけが、悪者になりたくない」
一般に、苦情が改善のきっかけになり、よりよいサービスに結びつくことは少なくありません。
事業者に悪気はなく、単に不適切であることに気づいていない場合、苦情はサービス向上につながります。
苦情を抑え込もうとしたり、誠実に対応しようとしない事業者はいずれ利用者からそっぽを向かれる恐れがあります。
上手に苦情を伝える
苦情を伝える場合、ちょっとの準備をしておくと問題解決が進みます。
- 書類やメモをそろえる
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契約書や請求書などは、苦情の根拠を明確にする資料です。
また、不適切な対応を受けた時間、場所、職員名、具体的な対応の様子などのメモがあれば役立ちます。
言いたいことをまずメモに書いてみて、整理してから話すというのもよい方法です。
- 本人・家族間で意見を統一する
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家族の中で、「改善してもらうべき」「そこまでしなくても」という意見の対立がある場合、事業所も対応に困ります。事前に意見を統一しておきましょう。
- 時間を置かずに伝える
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気になることが起こったら、あまり時間を置かずに事業所に伝えましょう。
介護の様子は記録に残されますが、職員の記憶は薄れます。
様子見をしているうちに、事態が深刻になってしまうこともあるので、早いうちに伝えたほうが解決も容易なのです。
- 苦情の根拠を確認する
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苦情を言ってもいいのかどうか迷いがある場合、自治体や地域包括支援センターに連絡して意見をきいてみましょう。
内容によっては事業所に連絡してくれたり、悪質な場合には、事業者に指導を実施してくれることもあります。
思いやりも忘れない
事業者を一方的に責めるだけでは、感情的な対立が起きがちで、問題の解決を難しくします。
現在、介護報酬引き下げや人手不足によって、多くの事業者は苦しい状況です。
苦情は受ける側にも負担がかかりますので、過度の要求は慎みたいものです。
また、ちょっとした気遣いも忘れずに。
事業所の忙しくない時間や都合のよい時間帯を聞いたうえで
- 用件は手短かに要領よく話す
- 相手の人格を傷つけるような言葉は使わない
など、事業者に対する思いやりが改善を促進することにつながります。
新規オープンホームの魅力
新しい、きれい、清潔感がある
新規オープンの老人ホーム・介護施設の魅力は、なんといっても「新しい」ということ。
きれいであり、清潔感にあふれた住空間があります。
またトレンドが反映されていることも多く、おしゃれな施設も多いでしょう。
多くの施設は、新規オープンのタイミングで最新の設備を導入しています。
- 入居者の緊急時を感知する「見守りセンサー」
- 効率よく鍛えられる「リハビリ機器」
- 負担なく入浴できる「機械浴」など
高齢者の暮らしがより豊かになる設備が整っています。
多様な居室タイプから選択できる
オープンからしばらくの間は、空室が多いこともあり「2人部屋」「南向き」「角部屋」など、希望に合った居室を選びやすいです。
比較的たくさんの選択肢から部屋を選べます。
複数の居室タイプを比較できますので、通常のホームよりも本人や家族が納得できる部屋探しができます。
人間関係が築きやすい
新規オープンの施設の特徴は、先に入居している人が少ない点です。
入居者の中に、仲の良いグループが出来ている既存の施設に比べ、新規オープンして間もない施設は環境に馴染みやすいといえるでしょう。
同じタイミングで入居する方が多く、入居者同士が自然と仲良くなるというメリットも新規オープンの特筆すべきポイントです。
「他の入居者様と馴染めるか不安・・」「介護施設に入居する家族が一人ぼっちにならないようにしたい」という方は、新規オープンの老人ホーム・介護施設を狙って探すのもおすすめです。
新規オープンした施設の選び方
どのような施設がありどのようなサービスが受けられるのか、資料請求して情報を広く集めましょう。
資料請求
「施設の比較検討が難しい」「どんな生活になるかイメージできない」「何を知りたいのかわからない」こういった時は資料請求が役に立ちます。
- 理想の施設が具体的にイメージできる
- 家にいながら効率よく比較できる
- 見学の際のポイントが明確になる
資料には金額やプラン、食事などの詳しい情報が記載されています。
施設の強みや特長が分かりやすく書かれているので、比較しやすいのもうれしいポイントです。
「気になる施設がいくつかあるけど、全部の見学に行くのは大変……」を解消。資料は無料で配布されています。
担当のケアマネージャーに相談
すでに介護や介護支援を受けている場合には、担当のケアマネージャーに相談してみるのもひとつの方法です。ほかの介護施設の入居待ちの間にサービス付き高齢者住宅を利用するケースもあるため、参考となる情報が聞けるでしょう。
現地見学・体験入居
希望に近い施設が見つかったら、現地に足を運び見学や体験入居を行います。
施設の清潔感や職員の雰囲気、周囲の生活環境などは、実際に体験してみないとわかりません。時間や手間を惜しまないようにしましょう。
現地見学や体験入居の際は、1つに限定せずに複数の施設を見て回ることがポイントです。
複数を比較することでサービスの質の差が明確になります。また、施設の責任者や入居者などから直接話を聞いてみることも、運営姿勢などがわかり参考になります。