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【老老介護の限界】社会のサポートを上手に活用しよう

在宅で親の介護が難しい状況になった場合、考えざるをえないのが施設への入所です。

なかでも入所希望者が多いのが、特別養護老人ホーム(特養)。

全国に約8200カ所あり約54万人が暮らしています。

社会福祉法人や地方自治体が運営する公的施設であり、費用が安いのが特徴です。

毎月の費用は介護サービス費と生活費をあわせて月10万円ほどで「入居一時金」はありません。

一方、民間の有料老人では、一般的に毎月20万円以上の費用がかかり、さらに数百万円の入居一時金を求められます。

そのため特養に入れない「待機者」がたくさんいます

厚生労働省の発表では、特別養護老人ホーム(特養)への入所を希望しながら待機中のままとなっている要介護3以上の人数は、2019年4月1日時点で全国に29.2万人

このため「空きが出るまで数百人待ち」とか「入所するまで数年かかった」といった話をよく聞きます。

特養の待機者数

参考サイト:
特別養護老人ホームの入所申込者の状況-厚生労働省
医療と介護を取り巻く現状と課題等 (参考資料)-厚生労働省

目次

特養が空くまでの介護はどうするか

特別養護老人ホーム(特養)は入居申し込みをしている待機者が多く、一般的に入居まで時間がかかります。

しかし「もう限界になった」というケースであれば、代替案を考えないと共倒れになってしまいます。

介護者の健康状態が悪いなど事情がある場合、待機の順番を考慮してもらえることもあるので申し込んでいる特別養護老人ホーム(特養)に事情を伝えましょう。

地域によっては、それほど待機者が多くない特別養護老人ホーム(特養)もあります。

どうしても特別養護老人ホーム(特養)が会いてない場合は

  • 介護老人保健施設
  • ショートステイ

などを利用するのも一案です。

介護老人保健施設は、病気やケガなどで介護が必要な状態になった高齢者が、一定期間入居して機能訓練(リハビリテーション)を受けながら在宅復帰を目指す施設です。

本来はあくまで在宅復帰が目的ですが、特別養護老人ホーム(特養)に移りたい方が入居待ちの間、一時的に暮らしている場合も多くあります。

数ヶ月ごとに他の介護老人保健施設に行ったり来たりする高齢者の方もいます

ショートステイは、在宅介護の合間に短期間だけ特別養護老人ホームなどに入居することです。

ショートステイでの利用であれば受け入れてくれる施設も多くあります。

介護をするご家族にとっても、ほどよい息抜きになります

介護で「もう限界・・」と感じたら

  • 健康状態を考慮してもらえるケースもあるので、入居を申し込んでいる特別養護老人ホーム(特養)に事情を話す
  • 共倒れを防ぐためにも、特別養護老人ホーム(特養)の待機期間中に一時的に利用できる施設を検討する

状況や介護度の変化を伝えることで、緊急性を理解した施設側が入所を早めてくれる可能性があるのです。

変化があった場合は特別養護老人ホームへしっかり報告しましょう。

その他の選択肢となる施設は

ショートステイの他に、入居一時金が不要の「介護型」民間施設に一時的に入るという方法も考えられます。

一時金の支払いがなければ、退去の決断がしやすいです。

しかしいつまでも特別養護老人ホーム(特養)に入居できなければ、いずれ月々の支払いが難しくなってきます。

選択肢となる施設
  • 介護型のケアハウス
  • 介護療養型医療施設
  • 介護付き有料老人ホーム
  • 介護型サービス付き高齢者向け住宅(特定施設)

待機期間として他の施設を利用する場合、親にとって安定した環境となりにくいですが、介護者の共倒れを防ぐには仕方ないといえます。

担当の医師やケアマネージャーと相談しながら、ベストではなくてもベターな方法を選びましょう。

老老介護になったら限界の見極め期

厚生労働省の2019年を対象とした「国民生活基礎調査」によると、老老介護の割合がおよそ6割にも上ることが明らかになりました。

この調査は、世帯の構成や家族の健康状況、世帯の所得などの傾向を知るために、毎年実施されるものです。

主に家族による在宅介護を行なっているケースのうち、介護する方とされる方の両方が65歳を超える「老老介護」の割合が過去の最多を更新して59.7%となったのです。

しかも、その中でお互いが75歳を超えている割合が33.1%で、こちらも過去最多となっています。

3世帯に1世帯は介護する側、される側のお互いが75歳以上

老老介護の深刻なリスク

代表的なリスク
  • 火元や戸締まりの用心不足
  • 共倒れ
  • 閉じこもり
  • お金・食事・薬の管理不能

火元や戸締まりの用心不足

コンロの火をつけっぱなしにしてそのまま忘れていて、鍋を焦がしてしまった・・という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

鍋を焦がすだけでなく、最悪の場合火事を起こしてしまうこともありえます。

近隣の方たちを巻き込む、重大な事態にもなりかねません。

共倒れ

要介護者だけでなくて介護者自身も高齢となると、どうしても体力的な負担が心配されます。

介護は毎日のことなので、精神的な負担も相当かかってくるでしょう。

介護者が体調を崩したり、介護が必要な状態になったりしてしまうという、共倒れのリスクがあるということは否めません。

共倒れになるきっかけ
  • 介護者が病気を患ったり腰を痛めてしまったりしたために、治療や入院が必要になり突然の介護者不在
  • 精神的な負担の増大が引き金となり虐待などにつながる

介護者と要介護者の関係性に取り返しのつかない溝が生まれるおそれもあるのです。

老老介護で要介護者と介護者の双方が軽度から重度の認知症を発症してしまうと認認介護ということになり、共倒れのリスクはさらに高まります

閉じこもり

老老介護によって、介護者自体も社会との接点が少なくなることが心配されます。

介護のために外出がなかなか思うようにできなくなり、社会とのつながりが希薄になってしまいがちなのです。

それだけでなく、運動量も少なくなりがちです。

筋力や身体能力が衰えていき、趣味などをする余裕が体力的にも時間的にもなくなってしまい、いわゆる「閉じこもり」の状態になっていく傾向があるのです。

外部からの刺激も少なくなってしまうため、悪くすれば鬱状態や認知症につながりかねません。

お金・食事・薬の管理不能

金銭面での問題発生も想定されます。

金銭面の心配
  • お金をおろしすぎて、肝心の自動引き落としができなくなる
  • キャッシュカードの暗証番号がわからなくなって生活費を引き出せない
  • お金がないにもかかわらず、高額のものを購入してしまう

健康の要である食事管理ではどうでしょうか。

食材や栄養の管理ができなくなり、食べたいものばかりを用意して栄養に偏りが出ることもあるでしょう。

満腹感が鈍くなって過食になったり、空腹感が鈍くなって低栄養になったりもすることも考えられます。

高齢化社会で需要増加 宅配健康食やわらかダイニング

シニア世代ともなれば、何らかの持病を持つ方も多いのではないでしょうか?

そうなると、継続的な内服が必要となってきます。薬の飲み忘れや飲みすぎによって、さらに体調を悪化させてしまうおそれもあります。

場合によっては命に関わるような状態に陥ることも考えられるので、十分な対策が必要です。

対策

軽い症状でも違和感があるときは小まめに病院へ行き、要介護度が上がるきっかけを見逃さないことが大切です。

老老介護の場合は、病院が介護者側の容体も気にかけチェックしてくれるでしょう。

定期的に病院で人と話す機会をつくっておくと、介護者に認知症の症状が出たときも早めに気付いてもらうことができ、適切に対処することができます。

社会のサポートを上手に活用するのがポイント

老老介護は、周囲の人に状況を把握してもらうことが重要です。

一人で悩んでいるだけでは、有益な情報を集めるのも難しいでしょう。

他人の手を借りたり、家族を施設に入れたりすることに罪悪感を覚える人がいますが、そういった意識こそが介護を危険な状況に追い込みます。

高齢化と核家族化が進んだ現代社会では、他人や行政の助けを借りてこそ、健全な介護を行えるのです。

困ったときは行政に相談するのが、深刻な状況にならないためにも大切な手立てです。

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