高齢者は若年者に比べると水分不足に陥りやすく、室内でも熱中症にかかりやすいと言われています。
熱中症で亡くなっている人は年々増加しており、2018年の夏は1500人以上が亡くなり、そのうち約8割の方が65歳以上でした。
一昔前は厳しい冬で亡くなる方が多かったのですが、今では暑さが厳しい夏に亡くなる方が増えています。
その原因の多くは熱中症が関係しています。
若い人は、暑くなればすぐに不快を感じ涼しいところに移動したり、部屋の温度を下げるなどして暑さを凌ぎます。
ところが、高齢者は暑さに気付けず、また汗をかく能力も衰えていたりします。
そのため、熱中症になるリスクが若い人に比べて当然高くなってしまいます。
熱中症になりやすい高齢者のタイプ
春から夏にかけての気候は、高齢者の体調にさまざまな影響をもたらします。
暑さで日中の活動量が減ると、食事量が減って栄養状態が悪くなったり、睡眠の質が低下したりして、暑さに対する抵抗力も弱りがちです。
- 普段から水分を摂らない
- さっぱりした食事が多く、たんぱく質をあまり摂っていない
- 同じメニューばかりを繰り返し食べている
- 寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚める
- エアコンが苦手であまり使わない
熱中症予防の基本は「水を飲む」
喉の乾きを自覚すれば、もちろん水分を摂取しますが、高齢者の場合、のどの渇きを感じにくいうえ、自発的に水分をとったとしても、「1日の水分摂取量」に満たないことがほとんどです。
さらにトイレに介助が必要だったりトイレが近くなる心配があると、自分からは積極的に水を飲みたがらなかったりもします。
また、飲み込む力(嚥下機能)が低下していると飲もうとしてもうまく飲めません。
体内に水分を保持する機能も低下しているため、気づかない間にからだの水分が不足しがちになっています。
高齢者に必要な水分摂取量は1日あたり1~1.5リットル。
この量を食事だけで賄うには、3食しっかり食べ、量もそれなりに必要です。
食が細くなっている高齢者には難しいことです。
高齢者に限らず、熱中症予防の基本はやはり「水を飲む」ことです。
人間の身体の約60%は水分が占めていると言われますが、高齢者の場合は約50~55%。
筋肉の減少や腎機能の低下により、体内に貯めておける水分量が少なくなっているため、脱水状態から熱中症に至るまでの経過が体質的に早くなっています。
今いる環境で特に喉が乾いていなくても、1時間に1回はこまめに水分をとって脱水にならないようにするのが熱中症予防につながります。
夜間などはトイレに行きたくないという理由で水分摂取を控える高齢者の方が多いのですが、そうではなくて水分をとることが最も大事です
「水を飲む」ことに特化したウォーターサーバー
水道は水を飲むためよりも、食器を洗ったり料理に使われることが優先されます。
そのため喉が乾きにくい高齢者にとって、水道があるキッチンに行ってまで「水を飲む」必要性を感じません。
その点、ウォーターサーバーは水を飲むことに特化したものであり、せっかく購入したから使ってみようという心理が働きます。
手軽に水分補給するには、ウォーターサーバーがあると家族でお水習慣が身につきやすくなります。
熱中症予防は塩分補給も必要
熱中症予防には、水分と一緒に塩分摂取も必要です。
適度な塩分を含む飲料水として、イオン飲料や経口補水液があります。
日本スポーツ協会では、0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml )と糖質を含んだ飲料を推奨しています。
市販のものが近くで手に入らない場合、ウォーターサーバーで簡易経口補水液やスポーツドリンクを作ることができます。
ウォータースタンドで作る熱中症対策ドリンクの作り方
経口補水液は、食塩とブドウ糖を水に混ぜたドリンクです。
下痢・嘔吐(おうと)・発熱・発汗にともなう脱水症状の改善のために用いられます。
熱中症では水分と一緒にナトリウム等の電解質も失われるため、真水だけではなく電解質の補給も必要になります。
そのため、熱中症の予防や治療には、塩分と水分が適切に配合されている経口補水液をとると効果的。
スポーツドリンクは経口補水液に比べて塩分が少なく糖分が多いので、熱中症対策には経口補水液を選ぶと良いでしょう。
手作り経口補水液の注意点
- 糖分とナトリウムのバランスが重要なので計量は正確に行いましょう
- 家庭での経口補水液は、あくまで手元に経口補水液がない場合の緊急的なものです。
雑菌が混入する可能性もあるため作った簡易経口補水液は遅くともその日のうちに飲みきるようにしてください。
簡易経口補水液の作り方
作りやすい分量
・ウォーターサーバー水:500ml
・砂糖:大さじ2と1/2(20g)
・粗塩:小さじ1/4(1.5g)
レモン果汁を入れると風味が良く飲みやすくなります。
果汁からクエン酸やカリウムなどが摂取できます。
スポーツドリンクの作り方
作りやすい分量
・ウォーターサーバー水:500ml
・砂糖:大さじ2~3
・粗塩:小さじ1/4~1/6
・レモン果汁:大さじ1と1/2
重たいお水の交換も注文の手間もなし
水分補給のためのお水のボトルを買いに行くことも宅配水の注文や受け取り、交換などの手間もかかりません。
高齢者の熱中症対策としての水分摂取は、「なんとなく」ではなく、「きちんと数値で」把握することが重要です。
500mlのペットボトルなら、「午前中に1本、午後1本、寝るまでに1本」というように、いつまでにどれだけ飲むかを決めておきましょう。
水分補給をしない理由を読み取り働きかける
高齢者が水分を積極的に摂らない理由はさまざまですが、ちょっとした促しや働きかけで改善できることがあります。
ポイントとしては、こまめに飲んでもらえる環境づくりです。
本人も周りも意識しないと必要量まで到達できないのが、高齢者の1日の水分摂取量です。
一般的に高齢者は、食事から摂取する以外に1000~1500ml必要だと言われています。
しかし、この量を満たすのは、意外と大変なことです。
水分を頻回に取るとなると、1日に何度もキッチンに行ってお茶を入れたりコップを洗ったり・・。
考えるだけで億劫になり、トイレが近くなるのも心配で水分を控えてしまいます。
熱中症のサインを見逃さない
高齢者は、加齢により、暑さ・寒さなど気温の変化を感じにくくなっています。
また、汗をかく機能や熱を逃がして体温を下げる機能が活発ではなく、熱中症になると一気に悪化して、命の危険に関わる状態になってしまうことも少なくありません。
高齢者の熱中症は、いつもと違う様子をいち早くキャッチし、悪化する前に対処することが肝心。
- いつもより体温が高く、熱っぽい
- なんとなく元気がない
- 呼びかけになかなか反応しない
- ぼんやりしていて、目の焦点が合わない
- 長時間トイレに行っていない
- 尿の色がいつもより濃い
- 脈がはやく、力強さがない
- くちびる、舌、口のなかが乾いている
- 足元がふらついている
- 皮膚に張りがなく、手の甲や腕を指でつまむと戻るまで時間がかかる
上記のような異変が見られたときは、まず熱中症を疑ってください。
高齢者の熱中症への対処方法
熱中症のサインが見られたときは、すぐに対応が必要です。
軽度なら、涼しくして水分を補給すれば大事に至らないことがほとんどですが、高齢者の場合は急変する可能性があります。
油断せず、慎重に様子を見てください。
熱中症の応急処置
- 身体を冷やす
- 経口補水液で水分を補給
- かかりつけ医や「#7119」に相談
身体を冷やす
身体が熱い、顔が赤いなどの症状が現れているときは、エアコンが効いた室内など、涼しいところで身体を休めます。
汗が蒸発しないと体温が下がらないので、ボタンをはずして首元から風を通し、熱がこもりやすい素材の服は脱がせましょう。
あおいで風を送ったり、わきの下・足の付け根・首のうしろなどを氷のうや保冷剤で冷やしたりすると、体温を下げるのに効果的です。
経口補水液で水分を補給
高齢者の脱水状態には、効果的に水分を補給できる上記の経口補水液やスポーツドリンクがおすすめです。
普段は飲まない方でも脱水状態になると、身体が補水液を必要とする状態になっているので、摂取を勧めてみてください。
自分で水分を摂取できない、呼びかけても反応しないときなどは、中度や重度の熱中症が疑われます。すぐに救急車を呼んでください。
かかりつけ医や「#7119」に相談する
高齢者の熱中症は、急変が心配です。
熱中症が疑われるときは、家でできる対処をすると同時に、かかりつけ医など医療機関に相談することをおすすめします。
救急車を呼ぶべきかわからないときは、救急安心センター「#7119」に電話して症状を伝えると、医師や看護師などの専門家が緊急性を判断してくれます。
- こまめに水分補給をする
- シャワーやタオルで身体を冷やす
- 暑いときには無理をしない
- 部屋の風通しを良くする
- 涼しい場所・施設を利用する
- エアコン・扇風機を上手に使用する
- 部屋の温度を測る
- 涼しい服装をする
- 緊急時・困った時の連絡先を確認する