親の老後をより良いものにするために、必ずしておくことがあります。
それは、入居する高齢者施設を探す前に、親本人の貯蓄と月々の収入を把握しておくことです。
総務省の調査によると、無職の高齢者夫婦の1ヶ月の収入は217,412円となっています。
この金額から税金や社会保険料などを差し引き、実際に手元に残るのは187,098円となっています。
一方、1か月支出は257,230円となっており、81,721円の赤字となっています。この不足分は貯蓄などを取り崩して賄っていることになります。
参考:総務省 高齢者の家計
1ヶ月の収入:187,098円
1ヶ月の支出:257,230円
不足:81,721円
また、公益財団法人生命保険文化センターが2018年度に行った調査によると、一時金は平均69万円、月々の費用は平均7.8万円となっています。
介護期間は平均4年7ヶ月のため、目安として介護にかかる費用は69万円+7.8万円×54.5ヶ月=合計平均494.1万円かかると試算できます。
施設の入居一時金は貯蓄から、月々の費用は年金から
上記の収支は一般の平均であり、自分の親の資産状況はどうなっているのかを知るためには直接本人に聞くしかありません。
通常、入居一時金などのまとまった資金が必要な場合は蓄えから支払います。月々の支払いは年金などの収入からと決めておきましょう。
月々の支払いで足りない場合は、蓄えを取り崩すか子や親類が支援することになります。
子や親類の支援が難しい、蓄えもない、年金も少ないといったケースは軽減策がある社会福祉法人を選びます。
社会福祉法人とは、社会福祉事業を行うことを目的として設立される法人です。
こうした性格を考慮して、法人税が非課税となるなど、大幅な税制上の優遇措置が講じられ、寄付金等の収入も認められています。
このため、社会福祉法人には、慈善博愛の精神に則って低所得者の負担軽減を行うことが期待されています。この制度は、社会福祉法人及び自治体に特別に認められているものです。
特養は入居一時金が不要で、月額利用料は大部屋で月額10万円程度。収入が国民年金だけなら5万円程度に減額されます。
これなら年金だけで賄うことができます。有料老人ホームは高額な費用がかかりますから、不動産収入でもない限り選択肢にするのは難しいと考えましょう。
親の資産と収入を書き出して明確にする
入居期間はどれくらいかかるか分かりませんし、その他にも病院治療代や交通費など追加で費用がかかる可能性があります。
事前に親の収入と資産を確認し把握しておくと、急な出費に対しても慌てなくて済みます。
収入 | 金額 |
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公的年金 | ¥ |
個人年金 | ¥ |
家族の援助 | ¥ |
その他 | ¥ |
合計金額 | ¥ |
資産 | 金額 |
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預貯金 | ¥ |
生命保険 | ¥ |
不動産 | ¥ |
▲ローン | ¥ |
合計金額 | ¥ |
親が元気なうちにお金の話をする
お金の話をすることの大切さは理解できても、実際には話しにくい話題です。しかし、親の介護を考えるうえで、お金の話は避けて通れません。
お金の話をしておくことがいかに重要かをしっかり説明しておくことが大切です。
- 介護は急に訪れるから、元気なうちに確認しておきたい
- 施設に入居となったら、まとまったお金が必要になる
- 認知症になる可能性も考えて、お金の管理ができなくなる前に資産を把握したい
以上のことを前置きをしたり、しっかり態度に出すことで理解を得やすくなるかもしれません。
普段から親子のコミュニケーションを確保できていないと、お金の話はしづらいものになります。対話を心がけて話し合いをするのが重要です。