高齢の親を介護のために施設に入居を目ても、親が入居に同意しないことが多く、説得方法に悩んでいる人が多くいます。
人の性格や考えは多種多様で人によってすべて異なるので、この問題に対して「こうすれば必ずうまくいく」という対策はありません。
しかし、入居を嫌がる理由には本音と建前があります。
建前の理由に対していくら説得しても効果はありません。
本音の理由をさぐり出し、その理由を一緒になって解決するように持っていくことで説得しやすくなります。
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親が介護施設への入居を嫌がる理由
親の本音は「住み慣れた家を離れたくない」からです。
施設に入居したいと思っている高齢者はほとんどいません。
下の表は内閣府が行った「自宅で介護をうけたい理由」に関する世論調査の結果ですが、これは裏を返せば「老人ホームに入りたくない理由」とも受け取れます。
入居している高齢者の多くは家族に勧められ、本当は自宅で暮らしたいけど「いたしかたない」という思いで入居しています。
実際、親と施設の話し合いを始めても「入りたくない」と言うケースが多く、家族は悩むことになります。
その一方で、施設に入居するのを望んでいる高齢者もいます。
下のグラフは特別養護老人ホームに申し込みしている待機者の「入居希望」を調査したものです。
28%の方が「入りたくない」と回答していますが、半数近くの48%もの人は入居を望んでいます。
内閣府の世論調査によると、介護施設等を利用したい理由は以下の通りです。
- 「家族に迷惑をかけたくないから」を挙げた者の割合が77.1%と最も高く、
- 「専門的な介護が受けられるから」(35.9%)
- 「介護の時間が十分にとれないから」(25.9%)
- 「緊急時の対応の面で安心だから」(24.4%)などの順となっています。
性別を見ると「家族に迷惑をかけたくないから」「家族は仕事をしているなど,介護の時間が十分にとれないから」「緊急時の対応の面で安心だから」を挙げた者の割合は、女性で高くなっています。
「家を離れたくない」と言われたら
- なるべく家に近い環境の施設をさがす
- 家を離れることを体験してもらう
- 少しずつ慣れてもらう
住み慣れた家を離れるのは、周囲が思う以上に本人にとって大きな決断です。
ですから、周囲は焦らずに本人の気持ちをたくさん聞いてあげながら、「家とは違うかもしれないけど、安心して暮らせる」ということを少しずつ伝えていきましょう。
例えば、好きなお酒が飲めなくなる、大切にしているペットと離れたくない、川沿いの散策が好きだ、と本人の離れたくない理由ひとつひとつを丁寧に聞き出し、それぞれ「健康管理上の問題がなければ、ある程度の飲酒はできる老人ホーム」「ペットと一緒に入れる老人ホーム」「川が見える老人ホーム」などと、離れたくない理由をひとつずつ解決できる老人ホームを探して提案してみましょう。
好きなお酒が飲めなくなる
健康管理上の問題がなければ、ある程度の飲酒はできる老人ホーム
大切にしているペットと離れたくない
ペットと一緒に入れる老人ホーム
川沿いの散策が好きなのに
川が見える老人ホーム
老人ホームに関心を持ってもらえれば、実際に短時間・短期間の体験を繰り返すうちに、すべての希望通りでなかったとしても「悪くないかも」と考えが変わってくることは実際に多くあります。
施設のショートステイや試食会なども上手に活用してみましょう。
「他人の世話になりたくない」と言われたら
- 「専門の人が生活や健康について支援してくれる」と説明する
- 「家族ができることとできないこと」をある程度は伝えておく
老人ホームではたくさんの人が入居者をサポートし、手助けをしてくれます。
食事のサービスくらいならいいのですが、入浴や排泄のお世話となると「他人の世話になる」ことに抵抗感を覚える人もいます。
これを「他人の世話になる」と受け止めるのではなく、自分では大変になってきたことを手伝ってくれる、支えてくれる人がいる、と考えられるように話をしていきましょう。
たとえば、もし体調が悪化して病院に入院すれば、看護師さんが着替えから入浴まで付き添ってくれます。
看護師さんは赤の他人ですが「看護のプロ」であり、安心してすべてを任せられます。
同じように介護の現場にいる人は「高齢者の生活を支えるプロ」です。
家族よりも安心して任せられる面も多いことを、少しずつ伝えてみましょう。
家族として自宅介護などでできることには限界があることを伝えてもいいと思います。
その上で「でもお父さん、お母さんには長生きして楽しく暮らしてほしい」とさまざまな支援を常に受けられる老人ホームのメリットを伝えると受け入れられやすくなります。
次第に前向きになるケースも
親子の話し合いは多くの場合、平行線ですが時間をかけて話したり、一緒に見学に行ったりして少しずつ理解してもらいましょう。
ショートステイの利用を長くしていき、施設での生活に慣れてもらう方法もあります。
自宅の近所の施設を選び、日中は自宅で夜だけ施設と提案するのも一案です。
親が体力の衰えを自覚して施設の入居に前向きになるケースも。
親に寄り添いながら老人ホーム入居へと進める
親本人もどこかで老人ホームの選択肢を考えていても、家族から切り出されると「違う」「イヤだ」と思ってしまうケースはよくあります。
親の考えがなだらかに入居の方向へ進むように、焦らず話をしたいものですね。
- 「ひとりで家にいるより安心なのかもしれない」
- 「食事は思ったよりおいしかったな」
など、老人ホームに親しみを感じたり、少しずつ気持ちも軟化すれば老人ホームに入りたくない気持ちも変化します。
大切なのは、「家族の愛情」を言葉や態度でたくさん伝えることです。
大切にされている、家族から敬愛されていると感じることができ、老人ホームに入っても親子の関係や家族の絆は途切れることのないものだと確信できれば、本人の老人ホーム入居に関する抵抗感は薄れていきます。
「こうしよう」といきなり提案するのではなく、まずは「その気持ちはよくわかるよ」と共感を示してみましょう。
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